図書室

No.3
『アフガンの四季』
 
佐々木 徹 著

中公新書 628
(1981年)

現在品切れ


アフガニスタンの人々とくらし

  70年代後半から80年代始めにかけての中公新書には「残照のヤルンカン」(上田 豊)や「海のラクダ」(門田 修)といったノンフィクション作品がいくつか並んでいる。「アフガンの四季」もこうしたノンフィクション作品の1つである。

 著者は1971〜74年にかけてカーブル大学に留学しており、その際の体験を元にアフガニスタンのきびしい四季の自然とその下で生きるさまざま人々の姿を描いている。著者の体験は出版当時からさらに5年以上もさかのぼる1970年代前半であるため、1979年から約10年に渡る旧ソビエトによる侵攻、そしてその後現在も続く内戦によって人々の生活は大きく変容したに違いない。しかし、たとえそうだとしても、この本で描かれる人々の姿は生き生きとしており、現在読んでも内容は陳腐化していない。

 本書の魅力の1つには、アフガニスタンの習俗が豊富に盛り込まれている点にある。
 特に興味を感じたものとしては、初雪の朝に行われるという「バルフィ」の風習がある。この風習は、初雪が降った朝、雪の入った器を親しい人に贈り物を持って行くように手渡して帰るという。渡された相手がそれに気がつき、送り主を捕まえたなら送り主からごちそうされる。しかし、逃げられてしまった場合は、逆に送り主にごちそうしないといけないという。
 他にも日本と同じ構造のやぐらこたつがアフガンでも一般的な暖房器具として使われているらしく、こたつを囲んでくつろぐ家族の写真等を見ると親近感を感じさせてくれる。

 本書は現在品切れであり、古本屋でも中公新書のシェアは岩波新書ほどはないため、神保町等で探してもなかなか見つからないかもしれない(私は京都で偶然立ち寄った古本市で見つけた)。
 私の経験からいうと、中公新書の絶版本を読むとしたら古本屋で探すよりも図書館で借りた方が労力が少なくて済むようだ。

(99.6)
●(2001.11 追記)
 不幸なことにアフガニスタンが再び国際政治のコマの1つとして注目されるようになってしまった。
 「アフガンの四季」は読む人の立場がどうであれ、アフガニスタンを知るための基本資料としての価値を今でも失っていないといえる。

 最近になって、下記URLで復刊の動きが出てきている。
 
http://www.fukkan.com/vote.php3?no=6416


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