SF-tuzureoriF17


SF綴れ織り

TommyおじさんのSF綴れ織り(2000-17)

−2000年9月10日−


『制覇せよ、光輝の海を!:キャサリン・アサロ』


 文句なしのエンターテインメント。だから、文句はつけない。 
そもそも、この<スコーリア戦史>のような冒険活劇ロマンは苦手
なほうだった。だが、この歳になって結構嵌ってしまった。ふふ。

 キャサリン・アサロという作家は、随分と長い時間をかけて、こ
のスコーリア宇宙を、自らの脳内で暖め育ててきたようだ。少女期
からサイエンス系の知性と、限り無い空想癖とを共存させてきたよ
うだ。それだけに95年の第1作発表以来、凄まじいスピードで毎
年のように新作を発表していることが頷ける。         

 今年の最初の「綴れ織り」でとりあげたのが、この<スコーリア
戦史>第1作の『飛翔せよ、閃光の虚空へ』だった。      
 科学者としての知識から産まれたのであろうギミックやガジェッ
トは、多くのSFフリークに受け入れられるであろう。しかし、さ
すがに3作も読み続けてくると、そうした構想力の確からしさより
も、キャサリン・アサロの物語はファンタジー的なロマンこそが真
骨頂である、と思えてくる。                 

 シリーズとしては、米国で既に5作が発表されており、この年末
には6作目が上梓されるとのこと。このあたりは、翻訳で文庫とい
う環境に依存している私としては歯痒いところだ。アサロもこうし
た宇宙史シリーズを書くコツを熟知しているようで、続きを読まず
にはいられないエンディングを用意している。まったく!!この3
作目の『制覇せよ、光輝の海を!』を読み終えたときの感想が「早
く続きを読みたいね」という率直なものであったことには自分でも
驚きとしか言いようがない、のだから仕方ないね。       

 スコーリア宇宙での時間軸では、この第3作『制覇せよ、光輝の
海を!』は第1作の『飛翔せよ、閃光の虚空へ』の続きであり、そ
の後に第2作『稲妻よ、聖なる星をめざせ!』が続く。     
 読むにあたって、順序はどうでもいいのだろうが、つい2作目と
3作目の整合性はとれているのだろうか、と心配になってしまう。
未来の物語の筈なのに、このような宇宙活劇ロマン・シリーズでは
必ず王朝が、王族が登場するのはどうも解せない。こうした通俗性
をあげつらう気はないが、登場人物の名前がやたらだぶっているの
は読みにくい。ジェイブリオルが何人もいたり、オルソーもビタル
も若いのとそうでないのが同時に存在したり、ロカやロカリサもい
るというわけだ。1作に閉じた世界では時系列がすっきりしている
のでさほどでもないが、2作目と3作目ではどうだったろうか、と
考えてしまう。こういうシリーズものって結局読み返すことになる
のだろうね。もう少し歳をとって時間的余裕ができたら、果たして
読み返すことになるのだろうか。ふむ、楽しみとしておこう。  

 いずれにしても、早川文庫で出版された三作を読むかぎり、必ず
続編があることを期待させられるであろう。いったいソズとジェイ
ブリオル二世一家はどうなったのだろうか、いったいジェイブリオ
ル三世となったジェイは何を為そうとしているのだろうか、と。 
 最初の作品のエンディングを思い起こせば、ソズとジェイブリオ
リオル二世がシリーズの主軸となる綴れ織り模様として生き続けて
いくことを期待したいものだ。                




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