SF-tuzureoriF10


SF綴れ織り

TommyおじさんのSF綴れ織り(2000-10)

−2000年5月8日−


『アンドリューNDR114:アシモフ&シルヴァーバーグ』


 1990年の前作『夜来たる』に続く、シルヴァーバーグがアシ
モフの作品をリメイクしたもの。原作「バイセンテニアル・マン」
を純粋に長篇化したもの。よく出来ている。だが、これで感想は尽
きてしまう。たしかにアシモフが原作を書いた時点では、この作品
の主題となった「自由」と知性体に係る定義、つまり「自由」とい
う概念を理解し、それを望むほど発達した精神(知性体)に対して
「自由」を拒む権利は誰にもないという定義は新しかった。人口知
性体を人類が産み出したとき、人類はどのように対処すべきか、な
かなかに鋭い考察だった。だが、現在ではこのような議論は決して
状況のエッジにあるわけではない。このリメイク版が書かれた19
92年の時点でも。                     

 この作品は、あのロビン・ウィリアムズ主演で映画化された。 
映画と原作という点ではタイムリーな文庫本発刊だったのだろう。
ビジュアルな映画的効果を考えれば、このテーマでも十分にヒュー
マンな映画が作られたことだろう。しかも、あのロビン・ウィリア
ムズだから、ね。                      

 この作品は、近未来の人口知性体と人類の関わりについて考察し
たもの、として考えるより、純粋に<人間的なるもの>についてこ
だわった、ヒューマニズムの作品として捉えたほうがいいのかも知
れない。たしかに、シルヴァーバーグはアシモフが提示した主題を
逸脱することはなかったが、現在を生きる知性の軋みを提示するこ
ともなかった。このようなノベライゼーションという営為に、どの
ような価値があるのだろうか。ゴールデンウィークの休みの間に、
どうものめり込むこともできず、坦々と読み進んだ。ふーむ。  




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