SF-tuzureoriF03


SF綴れ織り

TommyおじさんのSF綴れ織り(2000-3)

−2000年1月29日−


『ファウンデーションの危機:グレゴリイ・ベンフォード』


 アイザック・アシモフの『銀河帝国興亡史』、所謂ファウンデー
ションシリーズはSFの名作古典と言っても良い。そしてアシモフ
のもうひとつの名作ロボットシリーズは最後にはこのファウンデー
ションシリーズと合体してしまった。その「ロボットと帝国」を読
んだのは、ちょうど1年前のことだった。この作品でもアシモフの
『銀河帝国興亡史』シリーズは古色蒼然としたトーンを手放すこと
はなかった。それは良い意味でも、そうでない意味でもアシモフら
しい、と思わせてくれた。アシモフの死とともに、私たちアシモフ
ファンはこれらの作品の印象を胸に秘め、このアシモフワールドを
懐かしく振り返るだけの筈だった。ところが、この続編に着手した
とんでもない奴等がいた。                  

The ”Killer B’s”              
3人のBたち。ベンフォード、ベア、ブリン。なんと私の大好きな
3人のハードSF作家たちだ。D.ブリンの作品で最近読んだもの
は98年3月に読んだ『ポストマン』。ケビン・コスナ−の映画化
にはがっかりしたが、ブリンらしい佳作であった。今年の9月に読
んだ『グローリー・シーズン』もクローニングをテーマとしたブリ
ンらしい作品だった。グレッグ・ベアの場合は98年の9月に読ん
だ『凍月(いてづき)』。ベアらしい濃密な短編だった。そして、
もっとも年長のG.ベンフォードにいたっては97年10月に読ん
だ『輝く永遠への航海』以来、御無沙汰であった。私は内心、この
ベンフォードの<夜の大海シリーズ>のほうが、アシモフの<ファ
ウンデーションシリーズ>よりも好きなくらいなのだ。     

 この3人のBたちが、<新・銀河帝国興亡史>3部作を書いたと
いう。しかも、3部作のトップランナーはベンフォードだ。それが
この作品『ファウンデーションの危機』である。書店の本棚に並べ
られたこの本の前を何度通ったことか。日頃、文庫本読みの私だが
この魅力には勝てなかった。分厚い、この本を読み始めて溜息が漏
れた。どういうことだ。見事なまでに、この作品はたしかにアシモ
フの<ファウンデーションシリーズ>の続編なのだ。懐かしいセル
ダン、オリヴァー、ドースといったキャラクターが、原作の印象を
裏切ることなく闊達に登場したのだ。おそらく、3人のBたちこそ
熱心なアシモフファンだったのだろう。徹底的に読み込んでいるか
らこそ、為せる業というわけだ。脱帽。続くベアの『ファウンデー
ションと混沌』、ブリンの『ファウンデーションの勝利』が、今か
ら待ち遠しい。                       

 ところで、この『ファウンデーションの危機』も、ただアシモフ
の足跡をなぞっただけの作品ではない。ハリ・セルダンの心理歴史
学を再解釈し再生させたり、模造人格として再生された仮想現実の
なかのジャンヌ・ダルクとヴォルテールを大活躍させたり、ベンフ
ォードらしいアイデアに充ちている。まあ、未知の情報生命体はど
うも中途半端な登場だったが、ひょっとするとベアやブリンの続編
のための<仕掛け>だったのかも知れない。これは楽しみかもね。




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