SF-tuzureoriC3


SF綴れ織り

TommyおじさんのSF綴れ織り(98-23)

−1998年12月2日−


『アヴァロンの闇:ニーヴン&パーネル&バーンズ』
『アヴァロンの戦塵:ニーヴン&パーネル&バーンズ』


 九年前に書店で『アヴァロンの闇』を手にしたとき、どうしてか
読む気にはなれなかった。遠いヴェールの向こうの出来事のようで
定かではない。当時からラリー・ニーヴンは大好きだった。タイト
ルや帯のコピーに惹かれなかったからだったろうか。定かではない
が、あの頃はセンスオブワンダーを感じられないという直感がある
と敬遠していたように思う。当時の心理状態や、何故避けたのかは
たしかではないが、先月、書店で『アヴァロンの戦塵』を手にした
とき、再版された『アヴァロンの闇』も偶然にも並べられていた。
 九年前の直感がたしかだったのか確かめようという気持ちと、最
近は齢を感じるようにもなって、避けてきたものも時間があれば読
んでみようという気持ちが湧いてきており、両方まとめて購入して
しまった。                         

 前置きが長くなってしまったが、九年前の直感は正しかったろう
か。YESでもあり、NOでもあった。当時の私を突き動かすよう
なセンスオブワンダーを感じることができなかった、という意味で
はYES。読み物としての面白さという点では、なぜ読まなかった
のだろうか、と口惜しい。その意味ではNO。九年前の直感は正し
くはなかった。                       

 もともとニーヴンは合作が多い。しかもニーヴン&パーネルとい
う強力コンビを基本に、バーンズを加えた本シリーズや、M・フリ
ンを加えた「天使墜落」なんていうのもあったね。ニーヴンの描く
異星世界や異星生命はいつも驚異に満ちていて面白い。「プタヴの
世界」でニーヴンに出会って以来、強烈なファンである。当然、ノ
ウンスペース・シリーズは大好きだ。「リングワールド」「インテ
グラルツリー」とそれぞれの続編にも没頭したものだ。あたかも実
際にありえそうな異星世界や異星生命。その発想も素晴らしいが、
今回の『アヴァロン』シリーズでは、そのストーリーテラーとして
の希代の巧者ぶりに舌を巻いた。この数日間、鯨座タウ星系のアヴ
ァロン星に浸っていた。そして、恐怖の異星生命体グレンデル。 

 勿論、グレンデルと植民者たちの闘いや、その生態も面白い。な
んと言っても大型のコモド・オオトカゲのような体躯を、体内に仕
込まれたスピード嚢によって一挙に時速120Kmまで加速し、獲
物を瞬時にしとめる恐怖の生物グレンデルは記憶に残るだろう。 
 だが物語りは僅か数百人の植民者たちの<コンミューン>とでも
言うべき集団の描写に核心があり、予想できそうなのに次ぎの展開
を期待させるストーリーにこそ惹き付けられるのだ。『闇』では主
人公のキャドマン大佐とグレンデルが物語りの玉座を占めていたが
、『戦塵』では植民者第一世代と星生まれの世代との葛藤と、知性
を獲得した老グレンデルが主題となる。星生まれの若い世代には自
らの十代を重ね合わせてしまう。未熟な思い込みと早熟の自惚れと
前世代への反抗心。そして老いていく第一世代には現在の自分を投
影してしまう。                       

 どのくらい面白いかと問われるならば、この2作あわせて文庫本
4冊に数日間通勤の電車と寝る前の時間を全て奪われた、というく
らい面白かった。是非、御一読あれ!!            




forward

back

top
1