SF-tuzureoriB5



TommyおじさんのSF綴れ織り(98-15)

−1998年9月12日−


『戦士志願:ロイス.マクマスター.ビジョルド』    
『親愛なるクローン:ロイス.マクマスター.ビジョルド』
『無限の境界:ロイス.マクマスター.ビジョルド』   
『自由軌道:ロイス.マクマスター.ビジョルド』    


 お盆休みの間に読もうと思って、これまで気にかかっていた作家
の作品(文庫本)をまとめ買いした。お盆の間に消化できず、なぜ
か、やり残した夏休みの宿題のようで、消化するまでSF綴れ織り
の更新もさぼっていた、というわけだ。お待たせしました。   
 二年前に出会った「ヴォルゲーム」の作者、L.M.ビジョルド
の作品四冊である。タイトルの四作品である。しかし、片道30分
の電車通勤では、なかなか読むペースもあがらず、おじさんの夏休
みの宿題はなかなか終わらない。本来、これらの作品は訳者の小木
曽さんもどこかで書いていたように、「ベッドに持ち込んで、朝ま
で読み耽ってしまう」というのが、正しい読み方のようだ。   

 マイルズ・ヴォルコシガンという青年が主人公の3作。「ヴォル
ゲーム」以前に発表された『戦士志願』『親愛なるクローン』『無
限の境界』。ワームホールによるスペースジャンプによって、深宇
宙にまで植民した人類が、ある宙域では封建社会に先祖返りし、あ
る宙域では自由な民主制度の社会を形成しているというビジョルド
の所謂<ワームホール・ネクサス宇宙>を舞台にした連作である。
 特段の新しいSF的な発想があるわけでもないのだが、主人公の
マイルズ・ヴォルコシガン君の人物描写に魅力があるのだろう。 
 前述の封建社会のままに発展した惑星バラヤーの貴族の息子マイ
ルズが活躍する冒険潭。貴族社会の政治抗争のなかで、胎児のとき
毒ガスによる暗殺未遂を受け、いわば発育不全のままに成人した主
人公の心理的葛藤が、全編の主題である、といってもいい。   
 バラヤー帝国軍の青年士官であり、ひょんな経緯から宇宙の傭兵
部隊である「デンダリィ傭兵隊」のマイルズ・”ネイスミス”提督
となった主人公。この若き主人公の活躍はスペースオペラであり、
また彼の心理的葛藤は青春ロマンとも言えるだろう。      
 いつも思うのだが、こういう作品には中学生くらいのときに出会
いたかったものだ。その頃ならば、もっともっと耽溺できただろう
に、と思う。アシモフの連作のようにね。           

 もうひとつの作品『自由軌道』は、やはり<ワームホール・ネク
サス宇宙>を舞台にしているのだが、こちらは遺伝子工学による人
体改造によって生まれた無重力空間に適した新人類<クアディ>が
主人公の物語である。無重力に適応するように、下肢も上肢と同じ
腕を持つ、子供のようなクアディたちが、生みの親である巨大企業
によって抹殺されようとすることに敢然と立ち向かう中年技術者で
あり、クアディたちの教育担当者であるレオの活躍。      
 この作品はジュヴナイルではないか、とも評されたらしいが、実
に少年少女に読んでもらいたい作品ではある。         
 二十日ちかくもの間、ビジョルドワールドに浸っていた、おじさ
んの長い夏休みの宿題もやっと終焉を迎えた。まるで長い花火大会
のようにね。                        









1