SF-tuzureoriB2

TommyおじさんのSF綴れ織り(98-12)

−1998年7月20日−


『夜来たる[長編版]:アシモフ&シルヴァーバーグ』


 『NightFall』                  
 巨匠アシモフの名作「夜来たる」が、ロバート・シルヴァーバー
グによって長編化された。未だアシモフが鬼籍へ向かう前のこと、
1990年のこと。ようやく邦訳され、文庫本となったわけだ。 
 名作はやはり名作だ。但し、「古典」としての、と注釈をつける
必要があるかもしれない。六つの太陽を持つ恒星系に、日蝕による
夜が訪れる。狂気と文明の崩壊。宗教と科学。         
 私などが、ぐだぐだと雑感を述べる必要もないだろう。文庫本の
巻末に水鏡子氏の「アシモフノート」が記載されている。私の想い
に限り無く近いので、引用させていただく。          
『あえて言うなら、晩年のアシモフは新しいものを生みだそうとは
していなかった。彼が心をくだいていたのは、行く末を思い定め来
し方を再確認することであり、あれだけ大量の作品を書きながら、
なおまだ書き残し、やりのこした思いのある過去の成果をきちんと
整理し、完成させたいといった気持ちであったように思える。  
 ぼくらを驚かせた<銀河帝国の興亡>と<ロボット>ものの統合
も、そんな心のありようのなせるわざであったと思う。』    

 そんな事情を踏まえたうえで、なおアシモフを楽しみたいと思う
おじさんのような輩には、まだまだ楽しみがある。       
 本作に続いて、91年には「停滞空間」、92年には「バイセン
テニアル・マン」がシルヴァーバーグの手によって長編化されてい
るからだ。邦訳され、文庫本化されることに期待したい。    


 ところで今回は少し映画の話でもしよう。          
 6月13日のSF綴れ織り(98−10)で触れたスピルバーグ
製作の『Deep Impact』を先月観た。子供達にもわかり
やすい作品に仕上がっていた。私の属している広島のMacユーザ
のパソコン通信でも、結構『Deep Impact』の話題で盛
り上がっていた。ヒューマンなテーマの映画として。      
 だが残念なことに娯楽作品として観るならば、後半のビルを越え
る大津波など、もっと丹念に描いてほしかったものだ。あまりにも
テンポよくクライマックスへ展開していくので、却って物足りなく
感じたものだ。あれだけリアルな映像として描けるものならば、ひ
と工夫ほしいところだ。ヒューマンな映画として観るならば、登場
人物の選択はあまりにも類型的に過ぎたと思う。どちらにしても楽
しみのある映画ではあった。                 
 今月はあの米国版『ゴジラ』を観た。こういう肩の凝らない娯楽
作品もいいものだ。本家『ゴジラ』と「ジュラシックパーク」と、
「エイリアン」をひとつ鍋に放り込んだような雑多な味わいが、と
てもシンプルな『ゴジラ像』を描きだしていた。勿論、少年の頃か
らゴジラは好きだったが、思い入れはなかったので、巷の日米ゴジ
論争とは無縁に、新しいゴジラにも好感を持てた。おじさんのMa
cのデスクトップの壁紙に、新ゴジラを貼りつけているくらいに。









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