SF-tuzureoriA2

TommyおじさんのSF綴れ織り(98-2)

−1998年2月22日−


『星々の揺籃:A.C.クラ−ク & G.リ−』
『マグニチュ−ド10:A.C.クラ−ク & M.マクウェイ』
『スティーヴン・ホーキング:M.ホワイト & J.グリビン』


 先日、二人の作家の連名であらわされた三冊の本を、立て続けに
読んだ。                          
 ひとつは『星々の揺籃:CRADLE』。あのA.C.クラーク
とジェントリー・リ−の共著である。クラークファンには、「宇宙
のランデブー」シリーズでお馴染みのリーである。       
 二作目は『マグニチュ−ド10:Richter10』。これも
あのA.C.クラークとマイク・マクウェイの共著となっている。
 三作目は『スティーヴン・ホーキング:天才科学者の光と影』。
マイケル・ホワイトとジョン・グリビンという科学者コンビの書い
た、伝記的物理科学解説本とでもいった内容の共著である。   

 この三作をとりあげた意味はさして無い。非常に近接した時間帯
に併行して読んだ作品ということくらいだろうか。       
クラークファンの私としては、A.C.クラーク共著となってはい
ても、実質的にはジェントリー・リ−の作品である『星々の揺籃』
も、またマイク・マクウェイの作品である『マグニチュ−ド10』
も触れる必要はなかったのかもしれない。ただ、どちらにも最近の
クラークの眼差しを感知することができるかもしれない。    
 ただ、三作目の『スティーヴン・ホーキング』は勿論SFではな
いのだが、これが一番面白く堪能できた。           

 さて、『星々の揺籃』について。クラークファンはクラークのタ
ッチを期待すると裏切られる。これは、作品のコンセプトを除くと
まったくのリーの作品である。宇宙のランデブーシリーズでも見せ
ていたリーのストーリーテラーぶりは、本書で極まっている。最初
から、リーの作品だと思って読めば裏切られることもない。   
コンセプトはクラークの初期の作品『前哨』から継続しているもの
に他ならない。「私たちを見守る先行宇宙航行種族の存在」という
テーマに尽きる。このテーマに執着するクラークの眼差し。そして
これもまたクラークの愛する「海洋」を舞台としている。ちょうど
この作品を読み進む頃、クラークのビデオを見直した。たしか、昨
年末か今年のはじめに放映されたもので、BBC/NVCア−ツの
製作した『SF作家A.C.クラーク −地球と宇宙の予言者−』
というタイトルの作品である。これは本当に最近のクラークを活写
したもので、ファンには堪らないものだった。最近の「3001」
や「宇宙のランデブー」そして「2001」の映画メイキングスト
ーリーや「前哨」にまでふれられていた。またコメント陣も強力で
アルビン・トフラーやUCLAのK・ヘイルズ、そして「ワイヤー
ド」誌のJ・グリーンウォルドが次々に登場し、これもまた平明で
分かりやすいコメントを挟んでいた。それにも増して、コロンボで
の生活ぶりや、卓球するクラークなど見所は多い。そうそう、クラ
ークの弟まで登場していた。まだの方は是非ご覧あれ。     

 続いて『マグニチュ−ド10』について。これも地震をテーマに
した作品で、興味深い作品ではあるが、マクウェイの作品である。
クラークのアイデア(梗概)に肉付けし、作品としたのがマクウェ
イである。残念なことに実質的な作者であるマイク・マクウェイは
この作品を書き上げた直後に急死したそうだ。残念なことである。

 まあ、そういった事情で少々欲求不満気味の私にとって、面白か
ったのは三作目の『スティーヴン・ホーキング』である。    
『ホーキング、宇宙を語る』からのファンとしては、なかなか解り
やすい最新科学の地平についての絶好の解説本であった。おそらく
どんな数式を出されても理解できない<数学>の凡人である私にと
っては、『ホーキング、宇宙を語る』よりも平明でわかりやすい内
容であった。『ホーキング、宇宙を語る』は全世界で一千万部も売
れたそうだが、少々頭の固くなったおじさんにとっては、イメージ
をすら脳内で像を結ぶことが難しい内容であった。読了しても、ど
うしても明瞭なイメージとならない部分が多かったが、この伝記と
物理科学解説が半々といったこの本は、本当にわかりやすく表現し
てある。なるほど、そういうことだったのかと得心することも多か
ったし、ああこのあたりの物理科学や量子理論は、あのSF作品で
展開されたアイデアの基になっていたのだな、とか多様な楽しみか
たもできる。下手な解説よりは、『ホーキング、宇宙を語る』で得
心のいかなかった方、また全てのSF愛好家、そして現代物理学の
到達している地平について興味のある方には一読をお勧めする。 









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